ブッククラブのススメ

今週から、2年生の授業でブッククラブを行う予定である。メンバーの好きな本を選んで、1週間かけて読んできて、当日、感想を語り合う会である。10年ほど前から、授業に取り入れるようになっているが、今のところ、学生たちには好評である。

ブッククラブを行う上で一番大切なのは、会話を楽しむということである。授業ではない(いや、授業の一環ではあるけど)ので、何か特別な問いがあるとか、正解を出さなければならないとか、そういった縛りは一切ない。だから、素朴な疑問でよいので出し合って、それをみんなで語っていくことになる。

会話を楽しむためには、相手の話を聞かなければならない。そして、相手の話に関係のある事柄について、繋がりをもって話を展開していく必要がある。とはいえ、話を繋げているうちに思わぬ話題に脱線してしまうこともあるだろう。でもブッククラブでは脱線は大歓迎である。

ブッククラブの効用としては、お互いのことをよく知るきっかけになるということがある。本を媒介としつつ、お互いの情報や考えについて交流することができ、またそういう交流ほど、楽しい会話に繋がるからである。ブッククラブが成立するようになると、お互いの関係性もよいものになっていく気がする。

もう一つのブッククラブの効用は、「本を読んでくる」ということが、ほどよく義務化されることである。本を読みたいと思っていても、時間を作れなかったり、集中することが出来なかったりする経験は誰しもあると思う。そんなとき同じ本を他の人も読んでいると思うと、読書にも身が入るものである。

今週のブッククラブは学生が行うので、私は学生たちが楽しく会話するのを、パソコン越しに眺めることになると思う。しかし実は、私自身もブッククラブに一メンバーとして参加したいなと思うこともある。そういう会をオンラインでもオフラインでも身近に作れないかなと最近は感じている。

 © 小笠原 拓 2015