何を燻製にしたら美味しいのか?(小笠原拓)

意外な成功を感じた鳥取土産の定番!

続いて第2位は、これまた鳥取土産の定番商品、白イカ麹漬けである。

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スーパーなどでも手軽に買える鳥取土産の定番。日本酒にぴったり。

少し塩分が強めなので、健康が気になる世代にとっては、食べ過ぎに注意しなければならないが、それでもつい食べ過ぎてしまう鳥取の定番土産である。ちなみに、日本酒だけでなく、ご飯のお供としてもオススメである。

とはいえ、あまり燻製にして美味しくなるという予想は実はしていなかった。ある種ギャンブル的な気持ちで燻製にトライしてみたものの…

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ヴィジュアル的には、全く期待がもてない感じに…

この時点では、ほとんど期待はしていなかったのだが、食べてみると意外や意外。干しホタルイカの時と同様、燻製の苦味によって味に深みが増して、さらにお酒に合う大人の味へと変貌した。干しホタルイカより塩味が強いため、苦味より旨味を強く感じられることも高ポイントであった。

この食べ方は、これまであまり聞いたことがないので、白イカ麹漬けファンの方も騙されたと思って一度試してみて欲しい。


第1位を発表する前に…(番外編)

これまで発表した以外にもいくつかトライをしてみたのだが、さすがにうまくいかなかったものや、改善の余地が残るものも当然あった。それらを番外編として紹介しておこう。

番外編その①「マイフライ」

  
鳥取ローカルパンの代名詞!素朴だけどハマる美味しさ。

こちらは先程の白イカ麹漬けとは対照的に、期待した割には、それほど燻製の効果を得られなかったものである。マイフライは温めても美味しいので、そういう意味では決して失敗という訳ではなかったのだが、食べた印象としては、「別にレンジで温めたのと変わらないのでは」という感じであった。

但し、燻製については、調理時間などによって成功不成功が大きく変わる場合がある。ひょっとすると時間を置いたら、違った結果になるかもしれないので、また改めて検証してみたい。

番外編その②「らっきょう」

   
これが成功したらインパクトは大きいはずと期待したが…

一方、現時点で全くオススメできない結果に終わったのが「らっきょう」である。鳥取を代表する食材でもあるので相当期待したのだが、燻製とお酢の組み合わせがどうしても合わず、残念な味になってしまった。

らっきょうを完全に乾燥させて燻製にしたら、ひょっとすると違った結果があったのかもしれないが、それはもう既にらっきょうではないような気もする…。


そして栄光の第一位は…

堂々、第1位に輝いたのは…「さばへしこ」である。


「へしこ」ではなく単に「ぬかづけ」と書いている商品も多い。鳥取ではスーパーで普通に売っている。

「へしこ」とは魚のぬか漬けのことである。鳥取だけでなく主に日本海側の伝統料理として知られているが、鳥取では、スーパーなどでも手軽に買うことができる。一般的には、軽く炙ったりして食べることが多いのであるば、今回、思い切って燻製にしてみた。


右端が欠けているのは、写真を撮る前に思わず味見してしまったから。

これが想像以上に美味しかった。そもそも「へしこ」自体、ぬか漬けによって旨味を凝縮させているのだが、どうしても塩気の方を強く感じることが多かったのに対し、燻製にすると旨味の方が強く感じられ、個人的には思いもよらない発見になった。

写真では分かりにくいと思うが、ヴィジュアル的にもいかにも「美味しそう」で燻製器の蓋を開けた瞬間、成功を確信した。これは確実にオススメできる調理法なので、機会があれば是非挑戦してみて欲しい。


おわりに

今回は、「大人の力」を使って室内でも使える燻製器(とはいえ3000円台で手に入ります)を使ったが、燻製自体は、100円ショップで売っているような土鍋でもできる(詳しい情報については各自で調べてみてください)、興味をもった人は色々試してみて欲しい。

煙で燻すだけで、普段とは違う味が出てくるというのは、食材の未知の可能性を引き出すという意味でも非常に面白い体験であった。人間もちょっとした指導によって普段と違う味が出てくることがあるので、そういう意味では、燻製は教育に通じる部分があるかもしれない…

…などという強引なこじつけで無理やり綺麗に終わらせようとしているのは、多分、久しぶりの記事で終わらせ方がよく分からなくなっているからなので、あまり気にしないで下さい。


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