「偉そうにする」と「堂々とする」

益田ミリさんの漫画『すーちゃん』の中で、ある女性の登場人物が、自分の彼氏に対して「なぜあんなに店員さんに対して偉そうにするのか」と不満を言う場面がある。女性は、彼のこの態度が気に入らなくて、なかなか結婚に踏み出せないでいる。

確かに、そういう人っているし、そういう態度を好ましくないと思う心情もよく分かる。たまたま自分がお金を払う立場にいるというだけで、過剰に偉そうにしているのは、やはり大人としてどうかという気がする。

では、いつでも謙虚ならそれで良いのか。それもちょっと違う気がする。勿論、謙虚であることそれ自体は、悪いことではないのだが、結果として卑屈と受け取られるような態度もまた、ちょっと問題かもしれない。

例えばサッカーの本田選手。見てていつも感心するのは、自分がドリブルで相手にボールを取られようが、トラップを失敗しようが、いつも堂々と自分に対してパスを要求する。失敗してもそれほど悪びれたりしないし、成功してもそんなに偉そうにもしない。ただ、いつも堂々としている。

野球でいうと、イチロー選手や松井選手、最近ではあの大谷選手もそのタイプという気がする。打てなくても、三振をしても、勿論、悔しい気持ちはあるのだろうが、あまりそういう素振りも見せず、堂々と胸を張ってベンチに戻ってくる姿が印象的だ。

サッカーにせよ野球にせよ、プロスポーツましてやチームスポーツなのだから、いつもいつも偉そうにしていたら、多少成績が良くてもファンやチームメイトには好かれず、最終的には良い結果は得られないだろう。

一方、いつもオドオドして、あまり自信がなさそうな態度を取っているようでは、嫌われることはないかもしれないが、仲間からの信頼は得られず、やはり良い結果には繋がらないはずである。

「偉そうにする」と「堂々とする」は、似ているようで、やはりちょっと違う。とはいえ「偉そうにせず、堂々とした」人になるのは、結構難しい気がする。


 © 小笠原 拓 2015