箱だったらこれで作れるんじゃね。
はじめに
以前の記事で、「3億円の箱」を倉吉の県立美術館に見に行った話を書いた。正直、特に美術に詳しくない筆者は、ただただ、「3億円すげ~」という反応にしかならなかったが、実は、もう一つひそかに感じていたことがあった。
「これ、俺でも作れんじゃね。」
そう、実際にデザインされた図柄を描くとなれば、それなりに技術がいるだろうが、それは文明の利器(まあ、コピー機だけど)に頼ればよい。あとは、それを印刷して箱を作ればよいのだ。
思いついたからには、やってみるしかない。という訳で、作ってみることにした。(うん、そういえば、いつもこんなふうに工作記事に突入していくんだった。ちょっと感覚が戻ってきたぞ♪)
型紙を作る
まず型紙を作る。冒頭に挙げたネット上で見つけたサイコロづくりの型紙をダウンロードする。(インターネット、何でもあるな。)そして、お土産で買ってきた「ブリロの箱」(「3億円の箱」のこと)をモデルにした、お菓子の箱のデザインをコピーしてデータ化する。
次にデータ化したデザインの部分をスクリーンキャプチャして、先ほどダウンロードした型紙に張り付ける。写真の大きさを調整していくと、あっというまに「3億円の箱」型紙の完成である。
これはイケるでしょう。
試しに、研究室のプリンタでA4の普通の紙に印刷してみたが、この時点でかなり再現度が高かった。自宅のインクジェットプリンターを使えば、かなり上手くいきそうな気がした。
プラ板に印刷する
材料はプラ板にすることにした。厚紙で作ることも考えたが、何となく、プラ板の方がちゃんとした感が出るかなと感じたからだ。(この決断が、後に後悔をもたらすことになる。)
プラ板はA4が5枚入りで600円、はがきサイズが6枚入りで650円。はがきサイズの方がなぜか高いのはよく分からないが、大人なら別に普通に買える値段なのでアマゾンでポチる。
そして何やかんやあって(プリンターの調整に苦労した)、何とかプラ板に先程の型紙を印刷することが出来た。
プリンタから印刷されて出てくる型紙
A4サイズとはがきサイズの両方に印刷した。
二つのサイズに印刷したのは、そのサイズのプラ板があったからというのが直接の理由だが、県立美術館にある「ブリロの箱」は5つで3億円なので、大小2つのサイズで5個ずつ作れば「6億円の箱」になるかなと思ったからである。(ならんけど。)
プラ板に印刷したインクは鮮やかに発色が出ているが、触ると消えてしまいそう(きちんと板にインクが定着していない)ので、1晩、乾燥させておくことにして、試しに印刷した厚紙でとりあえずプロトタイプを作ってみることにした。
プロトタイプを作る
切ってみたが、この時点で完成度が高いのが分かる。
実はこの時点で、既にちょっと気になっていた。というのも、厚紙に印刷した型紙がかなりいい感じに仕上がっていたのである。「あれ、これ紙でいいんじゃね?」という疑念が頭をもたげてくる。そんな考えを振り払いつつ、とりあえずプロトタイプを組み立てていく。
図の線に合わせて紙を折り…
貼り付けて完成!!
あっけなく完成してしまった。紙なので折るのも簡単だし、印刷も剝げることはないし、貼り付けも簡単だし、裏写りもしないしと良いことづくめであった。この時点で、厚紙にすればよかったかなとかなり後悔したが、もう印刷してしまっているので、あくまでこれはプロトタイプだと自分に言い聞かせた。
プラ板で作る
違いが分かりにくいかもしれませんが、プラ板です。
1晩経って次の日、プラ板の印刷が定着していることを確認してから、プラ板を組み立てることにする。型紙を慎重に切り取り、折り目にはカッターで薄く切り込みを入れて折りやすくする。(やり過ぎるとプラ板が破損してしまうので危険である。)
貼り付けについては、最初は普通の木工用ボンドでできると思ったが、プラ板の反発力が強いため、瞬間接着剤が必要ということが分かった。(これも約600円)試行錯誤をしながら、のりしろに瞬間接着剤を付けて、形を整えていく。
一応完成!
何とか、第1号を組み立てることが出来た。ただ、写真をよく見て貰えばわかるように、「Brillo」の「B」の文字が少し欠けている。接着剤が手についてしまって、それで印刷が剥げてしまった。厚紙ならこういうことはないので少し後悔したが、まぁ写真に撮る分には、剥がれてない部分を表にすれば何とかなるだろうということで、このまま作業を続けることにした。
はがきサイズも作ります。
勢いに乗って、はがきサイズも作ることにした。はがきサイズの型紙は1辺が2㎝ほどでかなり小さい。慎重にカッターを使って切り込みを入れながら、こちらも組み立てていく。
ワンセット完成!
どうにかワンセット完成した。映り込んでいる消しゴムやカッターから、大きさを推定して欲しい。特にはがきサイズはかなりかわいく仕上がっているのではないだろうか。
その後も、色剥がれ問題には苦労させられながら、どうにかこうにか大小5個ずつの「3億円の箱」(正確に言うと1個は約6000万円なので、「6000万円の箱」を10個と言うべきだろうか?)をようやく完成することが出来た。
「6億円の箱」完成!!
完成!!(右端にあるのは厚紙のプロトタイプ)
写真に撮ってみると、厚紙と比較して角がしっかりとしているので、プラ板の方が本物感が感じられるかもしれない。色も(写真では分かりにくいが)剥げているところ以外はプラ板の方が鮮やかであり、とりあえず、プラ板で作った甲斐がそれなりにはあるのではと感じた。
こんなふうに並べたり…
縦に積み上げたりすることもできる!(不安定だけど)
特にこの縦に積み上げた写真は、安定感がないものの、ちょっと非日常な感じがして気に入っている。現代アートが何であるか、筆者にはイマイチ分かっていないが、ちょっと現代アート的な雰囲気(作品がそもそもそうだから当たり前だけど)を醸し出している気がする。
ここでまとめを書いて記事を終りにしてもいいのだが、せっかくなので、もう少し遊んでみたい。
現代アートなジオラマを作る
この「ブリロの箱」を作ってみてさらに思いついたことがある。この「ブリロの箱」をつくってジオラマを作ることができないかということである。具体的に言うと、ミニチュアアート作家の田中達也さんの作品をオマージュしたような(興味のある方は「ミニチュア 田中達也」で検索してください。)作品ができるのではないかと思ったのである。
そもそも「ブリロの箱」をプラ板で作ること自体が、著作権的にグレーな上に、著名なミニチュア作家の作品のオマージュを作るという、あちこちに謝らなければいけないような記事になりつつあるが、特に利益は得ていないし、素人の悪ふざけということで、ここは許してほしい。
ミニチュアの人形セットをポチって(1300円。結構お金がかかっているこの記事(笑))自作した「ブリロの箱」と一緒に並べてみる。そしてできたのが、これである。
3億円の街!
買ったミニチュア人形が思いのほか小さすぎて、安定感もなかったので、なかなか上手に並べることが出来なかった。ちなみに箱ははがきサイズのプラ板で作ったもので、A4サイズで作ったものではサイズ感があわず、うまく写真に撮れなかった。
とはいえ、それらしいものができたので、ひとまず満足ということにしたい。
まとめ
・あとで調べてみると、鳥取県立美術館の主催で、「ブリロの箱」をつくるワークショップをやっているようだった。だから作ること自体はそこまで著作権的にグレーではないのだと思う。
・ただ、ミニチュアのジオラマを作るだけなら、そもそも、アマゾンに「ブリロの箱」のミニチュアが売ってたので、それを買っても良かった。(ホントに何でもあるなアマゾン。)
・でも自分で作ることが大事だと思うし、大きさの違うものを2種類作れたことで、色々とバリエーションのある写真を撮れたので満足している。
・あと鉄道模型用のミニチュア人形の小ささに驚いた。模型店に売っているもう少し大きな人形を買ったら、また違った写真が撮れたかもしれない。
・とはいえ何よりも工作記事が久々に書けて良かった。「できるんじゃね」➡「作ってみようとする」➡「なかなかうまくいかない」➡「なんとかできた」➡「写真にすればそれなりに見える」という記事の流れは、何となく普遍的な気がするので、学生たちも参考にしてほしい。
(参考サイト)
・「サイコロの作り方。オリジナル展開図で手作りを楽しもう!」(「プレコチリコ~商品は言葉」)
・「MINIATURE CALENDAR」