3億円の箱と梨の巨木を巡る旅(小笠原拓)
公開日:2025年5月20日


梨の巨木!?

はじめに

どれくらい有名かはわからないが、鳥取には、何と3億円もする箱があるらしい。それが鳥取にやってきた時には、全国的なニュースになってちょっとした物議を醸したとも言われている。せっかくなので、見にいくことにした。


大人なので特急に乗ります

「3億円の箱」は鳥取とはいっても、倉吉市にあるらしい。倉吉市は私の住んでる鳥取市から車で40分程度のところにある鳥取第3の都市である。車で行ってもいいのだが、GW中なので、駐車場が混んでいたら困るなと思い、公共交通機関で行くことにする。

鳥取から倉吉へは電車(鳥取では汽車と言います)に乗って行くことになるが、大人なのでスマホで特急を予約する。各停なら60分かかるところ、特急は30分足らず。こういう時に、大人になってよかったと思う。


改札はICOCAで

スマホで買ったチケットは、チケットレス特急券というもので、乗車券は別に必要になる。しかし、今年の春から鳥取に自動改札ができたことで、ICOCAが使えることになった。早速なので、ICOCAで改札を通り、電車に乗り込むことに。


とうとう出来た自動改札…

特急に乗ったと思ったら、あっという間に倉吉駅に着いた。特急で30分しか乗らないというのは、えらく贅沢なんだなとちょっと感じた。とはいえ、目的地はさらに先にある。ここから先はバスに乗ることにする。


鳥取県立美術館


目的地に到着。

そう、着いたのは今年の春にオープンした鳥取県立美術館である。GW中の予定の一つとして、ここに来ようと思っていたのである。その理由は、もちろん、冒頭で述べた「3億円の箱」を見るためである。

展覧会は「ART of the REAL」と銘打たれていて、過去から現在にかけての「リアル」とは何かについて問うものであるようだ。間違っても「3億円の箱、見せます!」とかそんなふざけたタイトルではない。


展覧会は本格的

開館記念ということもあって、展覧会は本格的だった。正直、美術には詳しくないので、展覧会の質を論評するのは差し控えるが、ピカソやマグリットや若冲など、美術に詳しくない私でも知っている芸術家の作品が多数展示されていた。


ピカソの作品(タイトルは忘れました…)

特定の画派の作品を集めた展覧会ではないので、素人的には、色々と忙しい感じの見方になってしまったが、それはそれで、ユニークな展示方法なのだと思った。というようなことを、つらつらと考えていたら、とうとう目的のものが現れた。


3億円の箱と4500万円の缶詰


これが「3億円の箱」だ!

冒頭からくどい程、3億円、3億円と言っていたが、これが、今回見にきた「3億円の箱」、「ブリロボックス」である。作者はアンディ・ウォーホル、美術に詳しくない私でも知っている現代アートの巨匠である。この作品のどこがすごいかを語る知識を残念ながら私は持ち合わせていないが、3億円という数字には素人でもビビるものがある。この作品を鳥取県が買った時、物議をかもしたというのも分からないではない。


アンディ・ウォーホル(自画像)

「ブリロボックス」の他にも「キャンベルスープ缶」という立体作品が展示されていたが、こちらも4500万円したそうである。さっきの「ブリロボックス」はそれでも比較的大きさがあったので、何とか納得できなくもなかったが、こちらは本当に小さな缶詰そのものである。これが4500万円というのだから、現代アートというのは恐ろしいものである。


4500万円の缶詰!


屋外で食事をする

目的のものを見ることができたので、とりあえず、その他の作品も見ながら、結局、1時間ほどで、一旦、美術館の外に出た。お昼時だったので、昼食にしようと思ったが、ちょうどこの日は「ようこそ!ティーモア市場」というイベントが開催されていた。

色々な出店が並んでいたので、そのうちから、「ガパオライス」と「甘酒レモンソーダ」をチョイスして、外で食べることにした。


いい感じのランチ


時間が余ったので…

食事をして満足していたが、時間はまだ13時にもなっていなかった。帰りの電車はまだ先である。完全に時間が余ってしまった。これだけで記事に書けなくもないが、ちょっと物足りない感じもする。

そこで、県立美術館の隣にある「日本唯一の梨の博物館」エースパックなしっこ館に行ってみることにした。とはいえ、美術館と違って、家族連れが多いスポットである。オッサンが一人で入るにはやや敷居が高い。


ナッシーが俺を呼んでいる??

まずは梨ソフトクリームとコーヒーを摂取して、勇気を振り絞って入ってみることにした。(入場券を買うときに「大人一枚」というのはちょっと勇気がいった。)



なしっこ館では急に梨に詳しくなれる


世界各国の梨たち。

なしっこ館は、中央に大きな梨の巨木が展示されている円形の建物だった。世界中の梨をみることができたり、梨の食べ比べができたり、300円(3億円とえらい違い!)の入場券を考えれば、サービスたっぷりの施設であった。


ロボットの寸劇付きで映像が見られる。

10分ごとぐらいに色んな映像作品が流れているのも特徴で、私はついつい3本も作品を見てしまった。20世紀梨が千葉県のゴミ捨て場にあった苗から発展したものであるとか、かつて「梨娘」と呼ばれるキャンペーンガールがいたこととか、鳥取二十世紀梨音頭という歌があるということなど、昨日まで知らなかった「梨知識」を一気に吸収することができた。


鳥取二十世紀梨音頭!


おわりに

結局、なしっこ館には1時間半ほど滞在した。とはいえ、まだ時間が余ったので、帰りの特急券を1時間繰り上げたものに変更して、家路に着いた。GWの3日目であったが、一応、記事にはできそうな体験ができたので満足である。

正直、記事を書くパワーは以前と比べれば、全く落ちてしまっている気がしてならないのだが、それでも、こうして記事を書いていると、何か楽しかったような気がするから不思議である。ボチボチではあるが、記事を書くことでパワーを蓄えていけたらいいと思う。


お土産は600円の箱(入りお菓子)と缶バッジです。


 © 小笠原 拓 2015