“しあがってる”の向こうへ。牛骨ラーメンくん製作記(中林由芙)
公開日:2025年7月21日

“しあがってる牛骨ラーメン”との出会い

ある日、鳥取のお土産屋さんにて、ひときわ目を引くキーホルダーがあった。なぜかラーメンがムキムキになっている!面白いのでとりあえず買って帰った。


非常に良い笑顔

けれど家に帰ってからじわじわくるこの存在感に、「これ、他のポーズがあったらもっと面白いのに…」「てか作れんかな…?」と思ってしまった。―――その時はあんなことになるなんて思ってもいなかった。


とりあえず他のポーズを学ぶ

新しい牛骨ラーメンを作る以前に、私はそもそもポーズをあまり知らないことに気づいた。そこで、筋トレが趣味の先輩にポーズの写真を送ってもらい、これを参考に作ってみることにした。

ちなみに今回はプラ板を使ってアクキーを作ってみたいと思う。実際のキーホルダーは立体的でクオリティも高いが、私にはそのような技術がないため、平面で頑張ってみることにする。


まず取り掛かったのは手書きのイラスト

透明だとやりずらそうだったので白の背景のあるインクジェット対応プラ板を使う。写真を参考に、筋肉の膨らみなど、強そうに見えるように描いた。2パターンのポーズを全力で描き上げて、完成したときはかなり達成感があった。


サイドトライセップス(上腕三頭筋の美しさを見せる)


アブドミナルアンドサイ(腹筋と足の筋肉をアピール)


焼く前に一度ちゃんとできるかお試ししてみる

できたものを焼いて失敗するのが怖くて、まずはプラ板に先輩の写真を印刷して焼いてみた。


……結果、大失敗。黒焦げである。

身体が黒くなって強そうにはなったものの、全く縮む雰囲気はなかった。先輩には「ごめんなさい」という気持ちでいっぱいである。そしてここで、こんなに大失敗をしたら私の努力が詰まった筋肉たちも失敗してしまうに違いない!と思ってしまった。

このときの私はとても焼く元気はなかったため、とりあえずさっきプラ板に書いたイラストは、机の端に寄せておいた。しかしイラストたちは、いつか日の目を見ることを信じて、今もこちらを見ている気がする…



とりあえず筋トレのイラストをご覧ください。


やっぱり諦められなくて、透明プラ板で再挑戦

失敗して心が折れかけたけど、それでも牛骨ラーメン君を形にしたいという気持ちは捨てきれなかった。そこで使ってみたのが普通の透明プラ板。こんどは本当にただの透明な板に油性の名前ペンで直接描くことにした。


イラストが描けた!

書き終えたら、今度こそ成功したいという願いを込めて、オーブントースターで加熱した。今度はうまくいきそうかなと思ってるうちに縮む!縮む!さらに反る!反る!そして…完成。

足が交差してちょっと気持ち悪いが、しあがった牛骨ラーメンは世界に一つのものに仕上がっていた。


出来た!(指と比較して大きさを想像してください。)

悔しい思いはしたけれど、こうして目の前に形になった瞬間にはやっぱり嬉しいものである。著作権的にいいのかどうかわからないけど、少なくとも先生の「6億円の箱」よりはグレーではないと思うので、「私だけのしあがった牛骨ラーメン」として大切にしたいと思う。



さいごに

とはいえ、一連の作業を通じて、「もっとできることがあるんじゃないか」という気持ちが残った。今回焼けなかった2人の筋肉たちを成功させてあげたい。そして今度は透明なプラ板にも色を付けてみたい。あるいは粘土などを使って立体的なものを生み出したりもできるのではと思った。

作ってみたからこそ見えてきた課題や可能性があって、この牛骨ラーメン君の世界はまだまだ広がっていきそうな気がしている。


 © 小笠原 拓 2015