一から調べる

どこかで話したことがあるような気もするのだが、今、ふと思いついたので書いておきたい。このブログの中で書いたのかな〜と思ったけど、どうも違うみたいなので。

学生時代、「指定された万葉集の和歌を一首、解釈をして発表しなさい」という課題があった。これだけなら、高校生にでもできそうなものなのだが、一つ条件があった。「但し万葉仮名で書かれたものに当たること。」

よく知られているように、万葉集は万葉仮名という当時の日本語の発音を漢字を用いて書く方法で表記されている。私たちが中学や高校の教科書で見るようなものは、それを「解釈した」後のものであり、長年の研究の賜物である。

この課題は、「そのような研究の成果をもう一度疑ってみろ!」というものであった。で、実際に元の万葉仮名の表記に従って調べてみると「ひょっとしたらこういう読み方もアリなのでは?」という事例が出てきたりする。

権威と呼ばれるような研究でも、しっかりと問題を調べていけば、隙や不十分な部分は見つかるものだということである。但しそれは、物事を地道に一から調べる作業を通じてしか、見つけることはできない。卒業研究は、こういうことを知る機会だと思っている。


 © 小笠原 拓 2015