一番辛い仕事

大学の教員をしていて一番辛い仕事は、センター試験の監督である。世間の人はどう思っているか知らないが、あれは大抵、大学の教員がやっている。自分はともかく、どんな偉い先生でもこういう仕事は平等なので、同じようにやらされている。

何が辛いかというと、一日が長いということもあるのだが、緊張感がとてつもなく大きいことだ。事前に1時間半ぐらいの説明を受け、分厚いマニュアルを読まされるのだが、細かい禁止事項や注意事項が数え切れないほどあり(試験前にいうセリフも全て台本があるのだ!)、相当な緊張感を強いられる。

それに輪をかけて緊張させられるのは、受験生の緊張感が痛々しいほど伝わってくるからだ。ちょっと可哀想な気持ちになって、「緊張しないでも大丈夫。気楽にやったらいいんだよ」ぐらいの声をかけてあげたいところだが、これはマニュアル的にはNGだ。

「あんな緊張感は大人になったら味わうことはないのだから、一生に一度ぐらいはいいじゃないか」という意見はあるかもしれない。しかし、毎年見せられる側から言わせてもらえれば、ちょっとエネルギーの使い方を間違っているようにも感じる。

大学入試改革で、センター試験も今後は形を変えていくそうだが、とりあえず、あの緊張感を何とかしてあげてほしい。あと、あの分厚いマニュアルも簡素化してもらえるとありがたいけど…


 © 小笠原 拓 2015