鹿野街道の草道を行く(Tank you SY san with T)
投稿日:2016年1月9日


フィールド第一主義とは、こんな日常の何気ない謎に向き合うことである(かも?)

はじめに〜地球科学の大切さを伝えたい!〜

京都から鳥取にかけて広がる山陰海岸ジオパークでは、その中にある地球科学的な遺産を保全し、教育に使い、そして活用する(ぶっちゃけて言えば儲けるということだ)ことが求められている。

地球科学の重要性はあまり一般に知られていないようであるが、我々の気付かないところで地球の営みは重要な役目を果たしており、それを深く理解する上で不可欠な学問である。

そんな重要な学問分野である地球科学。しかし、その大切さを愛情を持って教えることはなかなか難しいのか、老若男女にイマイチ人気がない。それどころか、正直に言うと、高校でも地学の開講状況・履修者数ともに、他の科目に比べて悲惨な状況である。

そこで、「色んな人が地球科学に興味を持ってほしい」という地球科学者(つまり私のことだ)の思いをくんで、一人の学生が(卒論の単位欲しさに??)立ち上がった…

 

峠地蔵とともに地球に思いをはせる

ということで、色んな人が地球科学に興味を持ってもらえるような「ジオストーリー」の開発という卒論の指導で、鳥取市の鹿野町へ学生とともに行くことになり、色々と調査(5月のこの時は鹿野街道の痕跡探し)をして回っていた。今回はその調査の時の出来事というか、ちょっとしたハプニングをご紹介したい。


峠地蔵。何とも言えないお顔をしている。私もこんな顔ができたらなぁ・・・。

まず、紹介するのは峠地蔵。この峠地蔵、文字通り峠にあり、往時の旅人もここで手を合わせ、旅の安全を祈念していたと思われる。地球の全てを悟りきったような表情がなんとも素晴らしい。私もいつかこんな顔をしながら涼しげに学生指導ができればと思う。学生の卒論提出までの旅が無事に終わるよう我々も手を合わせた.


そして石畳道に遭遇するも…

峠地蔵から西へ下ると、我々は「石畳道」と書かれた看板を見つけた。


おっ、石畳道があるらしい。

おそらく、石畳道は鹿野街道の痕跡を示すものだと直感が働いた私。卒論のいい題材になるかなと思い、しめしめと看板の指し示すところへ体を向けた。


石畳道は・・・こっち(写真右奥)の方ってことね。

私は「これ・・・か?マジで?これしかないよなぁ」と心の中でつぶやいた。同行した学生もそう思ったに違いない。というのも、看板が指し示すその先に見えていたものは・・・


どこに石畳が…。これか、この草むらか…。この草むらの向こうか?

草むらだった。しかし普段からフィールド第一主義を公言する私としては、ここでひるんではいられない。我々は意を決し、この草むらに突入した。しかし、進んでも進んでも草むらだった。

距離にしてわずか数十mの出来事であったが、我々はとてつもない距離と雑草の強さを感じた。改めて、草むらを引き返し、足で感触を確かめようにも、草や土の感触しかせず、さらに改めて周囲を見渡しても何も発見できなかった(草しか見えない)。

少なくとも我々の能力では、石畳を発見することも探す努力を継続することすらできないことを確認し、卒論の題材候補ははかなくも泡と消えたのであった。

 

結論&宣伝

当然のことながら、「この状態では石畳道は卒論には使えないなぁ」という結論になった。だが、決して悲観することはないのだ。石畳道は往時の鹿野街道を偲ばせるものであり、利用価値があることを示せれば、いつか石畳道が発掘されるかもしれないからである。

「だから、君の卒論はこの石畳の道のためにも大事なんだよ。」と学生に言い聞かせ、新たなフィールド調査を進めることになった。

しかし、本当にそう言い聞かせたかったのは、自分だったのかもしれない…


という訳で、この記事を読んで、地球科学にちょっとでも興味を持った学生は(いや、たとえ持っていなくても)、

1月9日(土)14:00、SAKAE401(鳥取大学地域学部サテライトキャンパス)

に急いで向かうべし!(本当に直前なってしまいました。Sさんゴメンナサイ。byウェブマスター)

詳しくは→コチラ または→コチラ


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