AIと格闘してポスター案を作った話(小笠原拓)
公開日:2025年11月24日

はじめに

1年間のサバティカル期間(授業業務を行わなくてよい期間)が明け、今年度からは通常業務に戻ったこともあり、イレギュラーな仕事がちょくちょくと舞い込むようになってきた。その一つとして、コースの新たなウェブサイト作成の仕事に関わることになった。

こんなサイトをやってることもあり、ウェブサイトには詳しいだろうということで、駆り出されてしまったという感じである。妙な趣味をもっていることで、仕事が増えてしまうというのは厄介なことであるが、それも人生である。

もちろん、私がサイトを一から作るのでなく、実際は業者が作るのであるが、その参考となるイメージ画像(できればポスターのようなもの)を作ってほしいと言われた。正直、絵が得意でもない筆者には、荷が重すぎる依頼であるが、実はちょっと秘策があった…



AIを使えばいいじゃないか

秘策というのは、何のことはない、AIを使えばいいじゃないかということである。某漫画家の写真トレース問題がX(旧ツイッター)では話題になっていたが、そもそも写真トレースなら、AIがやってくれるのでなないかと考えたのだ。

そこでまずは元になる写真を探すことにした。AIでトレースするとはいえ、できれば、公開が許可されているもので、かつ、筆者が所属している大学で出しているものがいいだろう。ネット上を見ていると、本学の教員養成センターが教育実習の様子として、以下のような写真をUPしていることがわかった。


男子学生が算数を教えている様子。


女子学生が理科の実験を教えている様子


道徳の授業かな?

ちなみに実際に筆者に依頼されたのは、教員に興味を抱いている高校生に対して、「教員になりたい」と思わせるようなイメージ画像を作ってほしいということであった。なかなかハイレベルな注文だが、上記のような写真とAIがあれば、ひょっとしたら筆者でも何とかなるかもしれない。ということで、挑戦してみることにした。


まずはトレース画像を描いてもらう

今回はGeminiを使って、イラストを制作することにした。ChatGPTにもイラスト作成機能があるが、無料版では、すぐに作成限度に達してしまって、何度も訂正のやり取りをすることができないので、こちらは却下することになった。実際、最初のイラストを作るまでにも、かなりのやり取りを行ったが、ようやく満足できるものが一つ出来上がった。


完全にトレース画像になっている!

最初は、「イラストにしてほしい」といっても極めて写実的な画像にしか変換されず、ほとんど写真のままといった感じであったが、何度かやり取りを繰り返すうちに、「もっと平板に」とか、「ベタ塗りで」とかいろいろと指示していくと上記のようなイラストが出来上がった。よし、この調子であとの二つの写真もトレース画像にしていこう!


ちょっと先生の目線が気になるが悪くない。


ちょっと日本画のような味わいがある。

実際には、「一枚目と同じタッチで」とGeminiには要望したものの、なかなか思うようにはいかなかった。改めて先ほど言ったようなプロンプトを繰り返すことで、ようやく上記のようなイラストが完成した。やり取りには苦労はしたが、自分で絵を描くことを考えれば、作業量は雲泥の差である。AI恐るべしと言わざるを得ない。

早速、この三つのイラストを組み合わせて、ポスターを作ることにした。ここからはAIに頼ることなく、WordやPowerpoint などを使って、ポスターにしていった。出来上がったのが以下のようなポスターである。


なかなかの出来ではないだろうか?

ちなみに、キャッチコピーとボディコピーはAIではなく、私自身が考えた。(一応、国語教育の教員なので…)鳥取大学のロゴやとりりんのロゴは、公式HPから拝借し、仮のものではあるが、サイトのURLやQRコードも貼り付けた。(架空のアドレスなので、どこにも繋がらないが…)

自分としては、これで責任は果たしたな…という気になっていた。しかし、他の先生に見せた時、一応、褒めてはもらったのだが、こっちからアピールして無理やり褒めてもらったような感じになってしまった。(私の気のせいかもしれないが…)そこでもっと本気で褒めてほしいと思い(承認欲求が高すぎる!)、もう一工夫、考えてみることにした。


画像をアニメ風に変えてもらう

正直、あくまでイメージ画像であるし、そもそも実際にはプロが作るのであるから、こちらが作るのは参考程度に過ぎない。とはいえ、Geminiのクオリティを見ていると、もっとすごいことができそうな気がする。そこで、元の画像をもう一度、Geminiに送って、今度はアニメ風のイラストに変換してもらおうと考えた。これもかなりのやり取りを要したが、ついに次のような画像が送られてきた。


いかにもアニメの一シーンのようなイラスト

うん、これならイケる。実際には教員の髪型をポニーテールにしてもらうのに手間がかかったりと、想像以上にやり取りを行ったのだが、とにもかくにも、それらしいイラストは完成した。よし、この調子で、他のトレース画像をアニメ風に変えてもらおう。


さわやかな青年が出てきた!


若干、写真寄りだが悪くない。

素人が作った(というかAIが作ったのだが)イラストとしては申し分ない出来と言えるだろう。このままもういっそのこと、ポスターごとAIにつくってもらった方がいいのではないか?そう思って、先ほどのポスターで作ったキャッチコピーやボディコピーもGeminiに流し込んで、「この三つのイラストを使ってポスターを作ってほしい」とお願いしてみた。すると…


何だかよく分からない日本語が出てきた。

四つの写真をうまく並べている点は悪くないのだが、流し込んだ日本語をポスターとしてデザインする過程で、日本語が滅茶苦茶になってしまった。AIは言語を理解することはできても、文字をイラスト化する際には、かなり困難が付きまとうようである。また左下の絵も何だかおかしなことになっている。

ただ、ラッキーだったのは、右上に筆者が作ってもいない画像が追加されたことである。このイラストもそのままでは使えないが、ちょっと工夫して描き換えて貰えば、コンセプトに合ったものになるのではないか。という訳で、右上の写真だけ抜き出してもらって、これをいくつか指示を与えて加工してみた。


実習生が本を読んであげている様子

これなら、コンセプトにもあっているような気がする。ここからは、先ほどのAIが提案してくれたポスター案も参考にしながら、1枚目同様、WordやPowerPointを使ってポスターにしていくことにした。イラストは描けないが、ポスターにすることぐらいなら、素人でも何とかなりそうである。

そうしてできたのが…


コチラ!!

これならイラストの描けない筆者がつくったとは思われないだろう。プロに見せても恥ずかしくないような気がする。(自信過剰?)AIとの格闘の末、仕事というか遊びというか、よくわからない作業に休日のかなりの時間を費やしてしまった。若干、自分の凝り性にも呆れてしまった…


おわりに

上記の二つのポスター案を携えて業者とのサイト作成に関する会議に臨んだが、サイトを作る際のドメインの問題やら予算の問題やらなどの議論に時間がかかったこともあり、ポスター案には触れることはできたものの、「凄いですね~!」的な反応までにはならなかった。正直、「褒められるだけ」のために作ったので、こっちは、いくら褒めてもらってもいい態勢でいたのだが、人の反応を得るというのは、難しいものである。

とはいえ、イラストを描くことに対して、大きなコンプレックスをもっていた筆者にとって、AIという武器があることを知ることができたのは、貴重な体験であった。今後も、今回のように、AIイラストを使った記事が書けるかもしれない。

最後に、自分的には、もっと褒めてもらってもいいかな~(学生は凄く褒めてくれたが、教員に気をつかったお世辞かもしれない)と思っているので(承認欲求を拗らせてます)ネット越しでも構わないので、是非、全力で褒めてほしいと思う。

(参考サイト)

鳥取大学教員養成センター https://www.tottori-u.ac.jp/institute/international/teacher/

 © 小笠原 拓 2015