“インスタント素ラーメン”は流行るのか?(小笠原拓)
公開日:2017年1月13日


ここから「アレ」を作ってみよう!

「素ラーメン」とは何か?

鳥取県(というかおそらく鳥取市内か?)の一部で食べられている名物料理の一つに「素ラーメン」(詳しくはコチラ)というものがある。名前だけ聞くと、「ラーメンの具が入っていないもの」を想像する向きがあるかもしれないが、そうではなく「素うどんの麺だけがラーメン」というものである。

「素うどんの麺だけがラーメン」という説明もイマイチ分かりにくいかもしれないが、要するにうどんのスープの中にラーメンを入れたものである。どうも昔はラーメンが高級だったために、ラーメンを手軽に食べるメニューとして考案されたらしい(この辺りはちょっと自信がないので、各自調べてください)。

「そんな料理が果たして美味しいのだろうか?」というのが、その料理について知った際の、最初の率直な感想である。で、次に感じたのは、「だったら、インスタントラーメンとインスタントうどんの麺を入れ替えたらできるやん」(←ついつい関西弁)ということだった。

果たして、本当にそれでいいのか?とりあえず、やってみることにした。


まずは本物を食べに行く

とはいえ、本物を食べずに「美味しいのか?」などと疑ってかかるのもどうかと思うので、鳥取市内で「素ラーメン」を出してくれる数少ない店の一つである「武蔵屋食堂」という店に行って、実際に食べてみることにした。


これが本物の素ラーメン! 

出てきた素ラーメンは、ラーメンどんぶりに入っているせいか、一見すると「中華そば」的な印象を与えるが、「かまぼこ」や「天かす」といったトッピングは、うどん的と言えるだろう。何れにしても、これ以上ないほど素朴な印象のラーメンである。

食べてみると、これまた素朴な味なのだが、その優しさが何とも言えず美味しい。最近流行の、こってりしたラーメンのように、スープが麺に絡みつくと行った醍醐味は全くないが、それが却って麺の味をダイレクトに感じさせてくれる。スープは関西風のダシで少し甘めの味付けなのだが、麺を邪魔せず優しくお腹を満たしていく。

うん。これでいい。いや、むしろ、これがいい。脂っこいラーメンが苦手になりつつある年頃の皆様や優しい味が好みの女性の方などにオススメしたい味である。

ちなみに、上記の写真を撮る際、写真を撮って良いか聞くと、お店の人は、「どうぞどうぞ」とすんなり許可してくれただけでなく、「こっちの角度の方が美味しそうに見えるんじゃない?」と言って、わざわざどんぶりの向きを変えたりしてくれて、メチャメチャ優しかったのが印象的だった。


いよいよ本題に入るぞ!

とりあえず、素ラーメンの魅力は十分に分かった。問題は、それがインスタントラーメンで再現できるかどうかである。という訳で、素ラーメンに合いそうなインスタントラーメンとインスタントうどんを買ってきた。


それなりに考えて選んできた二品 

麺の印象が強かったので、ラーメンは太麺で麺にこだわりのありそうな商品を選んだ。うどんについては、ダシについてもこだわりたかったが、とりあえずトッピングにかまぼことネギがありそうなものをチョイスした。


麺を入れ替える(どん兵衛の中に黄色い麺が入っている違和感が何とも言えない…)

麺を入れ替えたらスープの粉末を入れ(当然これはうどんのスープを入れる。ここを間違えると元の味に戻ってしまうので注意)、後は普通にラーメンを作るだけである。


味が想像できるような、出来ないような…


より本物に寄せるためにトッピングに天かすとネギを追加した。

どうだろうか?見た目だけなら、先ほどの本物にかなり近づいたような気がする。天かすはとネギは我が家の台所から調達したものであるが、まぁ、これぐらいは許してほしい(誰が何を許すかよく分からないが)。とりあえず、見た目は十分美味しそうなので、早速食べてみた。


食べながら撮ろうとしたので、写真がブレまくっていることをお詫びします。

味はというと、美味しくはあるものの、本物を食べた時のような優しい感じは再現できなかったというのが、率直な感想である。やはり、インスタントうどんのスープは若干味が濃いので、それがネックになったのかもしれない。もう少しダシの味にもこだわってうどんを選ぶべきだったかもしれない。(しっかり確認はしていないが、このどん兵衛は「関西仕様」のものではなかった気がする。)

ひょっとしたら、組み合わせ次第では、本物に近い味を再現できるのかもしれない。それをとことん追求するのも面白いとは思うのだが、本業からはあまりにかけ離れた作業のような気がしたので、今回はこの辺りで満足することにした。


まとめ

☆まず「素ラーメン」は確かに美味しい。あまり他では体験できない味なので、一度は騙されたと思って本物を食べに行ってほしい。(あと、武蔵屋食堂の人は優しい!)

☆「インスタント素ラーメン」が流行るかどうかは分からない。但し、本物を再現するための正しいインスタントラーメンとインスタントうどんの組み合わせがまだ明らかになっていないことだけは、間違いない。

☆実は逆(ラーメンのスープの中にうどんを入れたもの)も意外と美味しい。こちらも、様々な組み合わせを考えると、面白いかもしれない。(自分ではやれそうにないけど、誰かやってほしい!)


逆バージョンが意外と違和感がなく、味も結構イケた。


 © 小笠原 拓 2015