天啓:晴天の知らせ
時刻は21時過ぎ…。夕食中、「ピロロロロ!ピロロロロ!」という電子音が鳴り響いた。私とA氏は音源を探すが見つからず…。その時、ふと私は玄関の方に電話が置かれていたことを思い出した。急いで電話を取りに行くが間に合わず…。きっとさじアストロパークの職員さんからだろうと思い外に出ると、ちょうど職員さんがこちらに向かって来ていた。
職員さん「今…晴れてますッ!見るなら今です……ッ!今ッ!見てくださいッ!!」
私「なに…ッ!?」(実際はここまで少年漫画風な会話ではありませんでした。しかし、この時のお互いの情熱は、熱き魂をその身に宿した少年漫画並でした。)
空を見上げると満天の星空が広がっていた。月は昇っておらず、星だけが輝いている。職員さんは天体観測の絶好のチャンスであることを教えてくださったのだ。なんと親切なお方なのだ。
私はお礼を言い、急いでコテージに戻った。ぼけーっとしているA氏に事情を話し、天体望遠鏡のドームに向かう。私の胸は今、確かに高鳴っていた。ワクワクに満ちていた。「元気ゲージ」は振り切った。いざ、観測のとき!
観測:光瞬く星を捉える

天体望遠鏡は2階にある。
ドームの出入り口は高さが低いので頭上注意だ。「特にワクワクしているときは頭を打ちやすい。」…経験者は語る。

ドームでは足元の明かりと、机上のスタンドライトが光源となる。
まず、写真の左側にある三枚の戸(というより蓋?)を閉じることから始める。この戸を閉めないと観測中にうっかり階下に転落してしまうことだろう。隕石のように。

ドーム内にはパソコン(写真右)と天体望遠鏡(写真左)がある。
このコテージの天体望遠鏡は31㎝反射望遠鏡(口径31㎝。鏡を反射させて光を集める仕組みの望遠鏡)であった。パソコンを起動し、専用のアプリをひらく。天体望遠鏡はスイッチを「AUTO」にして、赤緯固定クランプをセットする。そしてアプリを操作すると、アプリと天体望遠鏡が接続される。
アプリ内で星図から恒星や衛星、星団、星雲、銀河等を選ぶと、それは天体望遠鏡に送信され、天体望遠鏡が自動でその方向に向いてくれる。万が一お目当ての天体が視界の中央に来なくても、微調整できるリモコンがついているので安心だ。これは初心者にとってはかなり優しい仕様である。
さらに、このアプリは名前や等級(星の光の強さ)で検索することもできる。かなり便利。そして…なにより…このパソコンがWindows7であることがまた驚きであった。う~ん…とことんマニアック。

ミサイルの発射台ではない。
ドームの窓はリモコンで開け閉めができ、ドーム自体を回転させることもできる。天体望遠鏡が向いた方向に窓が位置するよう、リモコンでドームを操作し、回転させる。天体望遠鏡やドームの一連の操作、稼働音が戦闘ロボットを動かしているような感じがして…たまらなくロマン…!
ところで、冬にこのドームで天体観測をする際は、温かい服装で臨むことをおすすめする。窓が開いた瞬間、冷たい外気が流れ込み、もはや外と同じ状態になるからである。息は白く、指先は青白く…室内にして、室内にあらず。

見えたッ!これは…ッ!……紛れもなく木星ッ!!(テンション爆発)
木星。接眼レンズを通してスマホで撮影した。木星の周囲の2つの星は、かつてガリレオ・ガリレイが発見したと言われる、木星の衛星だろうか。スマホのスペックの関係でただの光のようにしか見えないが、肉眼では木星の模様である2つの線も見えた(目玉模様である大赤斑は見えず)。
スマホでの撮影は接眼レンズを通さないといけないわけだが、これもなかなかに難しいことだった。接眼レンズのどこにスマホを密着させれば星の光を捉えることができるのか分からない場合が多かったし、暗い天体の光は捉えることができない場合もあった。

ピント合わせは自分でせねばならないが、これがまた、実にシビア。
先程の木星のように、ここまではっきり見るためには倍率やピントを合わせねばならない。倍率は低倍率から高倍率へと上げていく。高倍率になるにつれて暗くなっていくからである。このあたりは顕微鏡と同じ扱いだ。
問題はピント合わせである。このピント合わせはなかなかにシビアであり、繊細な作業のように感じられた。接眼レンズ付近にあるつまみの両側を持って回すことでピントを調整するわけだが、少しでも回し過ぎるとモヤ~ンとぼやけてしまう。じっくり、じわじわ、慎重にピントを合わせる必要があるのだ。だが、このシビアさがまた、たまらなくロマン…。

オリオン座のベテルギウス(ぶれっぶれ)
やはりスマホでの撮影は難しい。手ブレを抑えることができない。レンズの奥のベテルギウスはオレンジ色の光でギラギラと輝いていた。プラネタリウムで観測を決意したオリオン大星雲は、モンワ~と広がる白いモヤが見えた。すばるは小さく見えたが、捉えることはできた。しかし、オリオン大星雲もすばるも、私のスマホで撮影することは難しかった。

おおいぬ座のシリウス。
おおいぬ座のシリウスはオリオン座のベテルギウス、こいぬ座のプロキオンとともに冬の大三角を形成している星である。ベテルギウス、プロキオンよりも一際輝き、青白い光を強く放っている。
写真のほかにも、こいぬ座のプロキオン・ふたご座のポルックス・ぎょしゃ座のカペラ・しし座のレグルス・うしかい座のアルクトゥールスなど、有名な明るい星を中心に見ていった。アンドロメダ銀河など、有名どころも観測しようとしたが、意外にも銀河全体は暗く、非常に見えにくかった。
星雲においても同様で、暗いものは見えにくい。だが、やはり一番大きかった要素は天候であり、薄く雲がかかっただけでも見え方は大きく変わってしまうものであった(雲により、こと座のベガや、おとめ座のスピカは見えず…)。結局この日は雲との戦いはあったものの、3時間ほど観測することができた。

翌朝のドーム。夜とは雰囲気が異なる。
翌朝、ドームの窓を開けると曇天ではあるものの、雪景色ということもあり、なんだか爽やかな気分。冷たい空気が一気に流れ込んでくる。目が覚める。
