紙の本は人にあげることができる

この間、学生たちに30冊ほど本をあげた。授業中の企画で、学生に「いらないけど、人にあげたい本を持ってきて」とお願いしたのだが、多分、それだけでは足りないだろうと思って、自分でも拠出することにしたのだ。

実は、こういったことは初めてではない。本があまりにも増えてしまった時は、研究室前にブースを作って、「読みたい本を持っていって下さい」フェアを勝手にやっている。同僚の方々から好意的な声を聞くと、ちょっと嬉しい。

電子書籍が嫌いな訳ではない。欲しい本がすぐ手に入るし、著作権の切れた本は原則タダだ。ipadひとつで何冊も本を持ち歩くことができるので、よく利用している。ただ、電子書籍で良い本だなと思っても、それを人に譲ってあげることができない。

良い本を読むと「是非この本はあの人に読んでほしいな」と思うことがある。自分の本が誰かの手に渡って、色々な形で読まれていくことを想像するのは、紙の本ならではの楽しみなのかもしれない。


 © 小笠原 拓 2015