準備完了?
一箱古本市とは??
5月21日午前9時半、鳥取県立図書館の無料駐車場に車を止め、図書館入り口に向かって続く一本道を進むと、途中視界が開け、左側に一面芝生の空間が現れる。右手に図書館、左手にとりぎん文化会館、前方にはカフェテラスとあたりを複数の施設に囲まれている。どこへ行こうにも必ず通る一本道のため、人の往来は多く、イベントを宣伝するには絶好の場所だ。今日ここで、私達は主催者になる。
私達四人は鳥取大学地域学部の学生で、人間形成コースの地域調査プロジェクトで小笠原教授が担当されるコースに所属している。今回一箱古本市イベント、「トットリヒトハコ」を開催するため、一年間準備を進めてきた。一箱古本市とは、各自が持つ本を自由に売買できる市場である。各々が自由に本に値段をつけて売ることができる。お客さんや出店者同士で交流ができるのも魅力の一つである。さて今日は、どんな交流が実現するだろうか?
堂々と本が並んでる。
人の集まりは?
午前中には太陽が図書館側から差し込み、わずかに会場に植えられた木にしかなかった影も、午後になるとホール側のガラス張りが会場を覆い、憩いの場を生み出していた。イベント時間の10時から16時半の間に、約150人を超える方々が足を運んでくださった。
熱心に本を手に取るお客さん。
その中には、ふらっと立ち寄ってくれた人はもちろん、見知った顔や環境大学の学生、教授のかつての教え子に師匠、県立図書館の職員の方なども含まれていた。
特に午後は子供連れのお客さんが格段に増えた。隣のとりぎん文化会館ホール内での子供用イベントが丁度終わり、親子連れが帰る時間と重なったことで、読書教育の一環として訪れるお客さんが増えたと思われる。
絵本がいっぱいの本屋さん。
魅力的な「本屋」たち
しかしなにより大きかったのは、多くの出店者の多種多様で魅力的な発想が歩行者の目に留まったからであろう。「後半に子連れの買い手が集中することを知ってか知らずか、出店者の中には子ども向けの本を多く用意している者も少なくなかった。
こちらも子供向けの本が多い。
絵本や児童文学など、幼くても読めそうな本が多い中、本にとどまらず本と別のものの取り合わせを試みた出店者も現れた。ストローと牛乳パック、ホチキスでできた竹とんぼをその場で作って子供たちにプレゼントしているお店や、本を一冊買うとスコーンなどラッピングも工夫された自家製のお菓子が付いてくるお店などもあった。竹とんぼは私も作ってもらい、休憩がてら子供たちと飛ばしあったりした。
中には、子ども自身が店員を務める店もあり、そこは子供たちが会場を駆け回って呼びかけをしたり、子供が自分で値切り交渉をしたりと、本そのものより、人とてんやわんやしてはしゃぐことを楽しそうにしていた。
こちらは文字どおり子供が店主さん!
私自身も、ここでパスタレシピの本とキノコ図鑑、なぜか小学生の恋愛占いの本まで買う流れになり、おまけに手作りのしおりを二枚プレゼントしてもらった。これだけそろって500円もいかない。主催者側にもかかわらず、正直こんなにお得でいいのかなと思えるほどだった。
終わりに
コロナの影響で今年は三年ぶりの開催となった本活動。出店者同士の和やかな会話、竹とんぼを手に駆け回る子供たち、元教員の出店者に会いに来たついでにお弁当を広げだす元生徒たち、会場に広がる自由な原風景を見渡して、ゆっくりとそれでいて確実に、私達が感染症の苦しかった時期を乗り越え、もう一度繋がっていこうとする姿が見られて、こちらまでも元気を頂いた。
今回参加してくださったすべての皆さん、本当にありがとうございました。この活動は、春と秋が旬であるが、教授は少なくとも来年の春は必ず実施しようとしているようである。(もしかしたら秋も考えているという噂もある。)その時は、今回来られなかった方々も、是非ともご贔屓に。宜しくお願いします!
思い思いに本当の時間を過ごす人たち。ご参加、ありがとうございました。