無事に前期の大学生活を終え、夏休みを迎えた。
高校時代、心を閉ざし、新たな人との交流を放棄していた私は、大学生活のスタートでかなり疲弊していたようだった。一から人間関係を作らなければいけない、という環境が苦痛でしょうがなかった。押し付けがましい新歓のビラ配りにイライラしながら毎日を過ごし、「合わなかったら辞めればいいか」という考えで、一度も見学に行かずにサークルを決めてやった。
唯一の救いは、新しくできた友達がすごくいい子たちだったことだ。おかげで授業はなんとかなった。そんなこんなで、とりあえず前期間やり切ったが、その頃には私生活に支障が出始めていた。疲れているはずなのに眠れないし、考え事ばかり捗ってしょうがない。最悪だ。気がついた時には、昼夜逆転の生活に足を踏み入れようとしていた。「このままだとまずい。せっかくの夏休みを無駄に過ごしてしまう。」そう思った私は、気晴らしのために早起きをして散歩に出かけることを決めた。
アラームの音で五時に起きる。「昨日まで正午のチャイムで起きていたくせに。私もやればできるじゃん♪」なんて思いながら、準備を終えて外に出ると、太陽が顔を覗かせ始めていた。湖山池の周りに公園のようなスペースがあるので、とりあえずそこに向かう。歩いていると、ピンクっぽい朝顔が二つ、歩道の端に小さく咲いているのを見つけた。朝顔なんて何年ぶりに見ただろう。自分が外に出ているのが朝だということを実感し、嬉しくなって写真を撮った。
公園に着くと、犬の散歩をしている人が何人かいたので、その人たちと一緒に三十分ほどのんびり歩いてみた。何があるわけでもなかったが、青と緑で囲まれた景色がとにかく綺麗だった。運動不足も相まって、三十分も歩くとさすがに疲れてきた。とりあえず休憩を挟もうと思い、池の方を向いたベンチに座った。ベンチに座ってもすることが無く、「何か持ってくればよかった」と思ったが、何もせずに池を眺めるのもなかなかにいいものだった。
湖山池は、健康的に伸びた草たちに囲まれている。水面には、まだ青くなり切っていない白っぽい空が映っていて、その中では二羽の鴨が悠々と泳いでいた。その景色をぼーっと眺めていると時間の進みがゆっくりに感じられた。夏なだけあって日差しはなかなか強いけど、風が涼しい。田舎も捨てたもんじゃないな、と思う。
お腹が空いたので、帰ることにした。ベンチから立ち上がって後ろを向くと、太陽の高さと私の目線がまだ同じくらいにあって、なんだか嬉しくなった。
すっきりした気持ちで帰路につく。新しい環境での慣れない生活の中で、気がついたら溜まっていた煤のようなものが晴れていったように感じた。「これを習慣にできれば、定期的にリフレッシュできていいかもしれない。まあ、早起きはたまにするくらいでちょうどいいんだけど。」なんて考えながら、ローソンに寄って少し贅沢な朝ごはんを買った。

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本エッセイは、2026年度「地域調査プロジェクト」(担当:木村穂乃香先生)において作成されたエッセイ集『あおいあさがお(vol.2)』から転載したものです。 よろしければリンクからご感想をお寄せください。「面白かった」などの一言だけでも、お気軽に。https://forms.gle/zjvxcQEa6DSBVhB49
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