身近な楽器で「越天楽今様」を弾いてみる(中林由芙)
公開日:2025年9月29日

はじめに

音楽の授業で一人一曲、共通教材を演奏して、一緒に講義を受ける仲間たちに歌ってもらう課題が出ました。「ふるさと」「うさぎ」など、慣れ親しんできた童謡が挙げられていき、終盤、私に課せられたのはなんと「越天楽今様(えてんらくいまよう)」。

まさかの雅楽!?と動揺が隠せません。でも一旦、授業後にYouTubeを開き、聴いてみました。流れてきたのは「ドンッ」「シャン」「フワー」という雅(みやび)な音楽。絶望しかない…


音楽の授業でまさかの雅楽…

でもやるしかない。当てられた以上逃げ道はない…

しかし私は幼いころピアノを習っていました。手元にあるのはピアノの楽譜。雅(みやび)さはないものの、できなくはないのではないだろうか。練習し、本番に挑みます。


当日

指の調子は絶好調!いける!

ドキドキしながらみんなの前に立って、「越天楽今様」の概要を説明します。話を聞いている側は面白くないかもなあ…と凹みつつ、みんなで歌ってもらおう!


ドキドキ


いざ、演奏!

私はいい感じに前奏を弾いたが、みんなはかなり不安そうで小さな歌声が聞こえてきた(苦笑)

分かっていましたがこの曲は私も授業で歌った経験がありません。みんな、曲をあまり知らないのです。予想外の旋律に惑わされつつ、その時間を何とかやり過ごしました


感想

やっぱり雅ではない。そしてあっさり終わったので、達成感も薄く、「なんか思ってたんと違う」感が否めないです…


ガッカリ感が否めない…

そして私は思い出しました。私にはまだ使える楽器がある!


ギターでやってみる

琴バージョンの越天楽今様をYouTubeで見かけたので、同じ弦楽器のギターでもできるはず!ということでさっそくやってみます。


私はバンドでギター&ボーカルを担当してます!

楽譜がないため今回はAIのGemini(ジェミニ)に作ってもらいました。


良かったら演奏してみてください!


弾いてみる

しかし、いざ弾いてみると、なんかやけに長調で、気持ち悪い!このままでは越天楽とは言えない。どうしたらいいのか、再びジェミニに相談してみると以下のような回答が返ってきた。

「長調」に聞こえる理由

  • Dメジャーキーが基本:ご提示したコード譜は、全体をDメジャーキーで構成しています。Dメジャーキーは、明るく、華やかな印象を与える長調の代表的なキーです。
  • 主要三和音の多用:D(I度)、G(IV度)、A(V度)という、それぞれのキーの主要なコード(主要三和音)を多用しています。これらのコードは、そのキーの雰囲気を決定づける重要な要素で、長調の曲では特に明るく安定した響きを生み出します。
  •  短調コードの不使用: 今回のシンプルなアレンジでは、短調のコード(マイナーコード)をほとんど使用していません。もし短調のコードが入ってくると、少し憂鬱な、または落ち着いた雰囲気が加わりますが、それがないため、より長調感が際立っています。

簡単にいえば、ギターでこの雰囲気を再現するとこの長調のコード進行になるということだそうです。でも私は納得できません!


「雅楽み」をだして考え直してもらう

ジェミニには悪いですが、これではこの記事を書ききることができません。とういう訳で、もう一度、コードを考えてもらうことにしました!


浮遊感やベース音を意識したみたいです。良かったら演奏してみてください(2回目)


弾いてみる(パート2)

若干の陽気な感じが残りましたが、さっきよりはなんだか雅な雰囲気を感じることができました。ギターはこれでいきましょう。ピアノと一緒に演奏すれば、より雅楽みがでるかもしれません。


第三の楽器

実は私が持っていて、演奏できる楽器がもうひとつあります。ソプラノリコーダーです。これもYouTubeで演奏している動画を見ました。だから自信をもっています。


リコーダーは得意なのです!


練習

これは旋律を吹くだけなので楽譜は割愛します。すぐに吹けるようになりました。

(参考)https://youtu.be/_tdiKvBwd2c?si=fcUZmejypG5IdOCo


本当に練習しています

よし、これで三種類の楽器で越天楽を再現することが出来た。この三種類の楽器を使えば、本当の越天楽を再現することができるのではないでしょうか!?


ここで衝撃的な事に気づく

しかし、よく考えてみれば、三つの楽器を練習しても一緒に合わせることができないのでは?録音して音を重ねるにも残念ながらそのような技術もありません…

雅楽を身近なもので表現する、という試みというよりか、一人で挑戦するという別のチャレンジに変化していました。そしてこれは不可能です!一人ではどれだけ頑張っても雅にはなれませんでした。無念。


気づくのが遅かった…


最後に

ここまで雅楽と向き合ったのは初めてでしたが、現代とは違った独特な音はなかなか他のもので出せるものではないのだと気づきました。

とはいえ、一人で3種類の越天楽を演奏することが出来たので、それはそれで満足したいと思います。皆さんは、是非、一人ではなく数人で挑戦していただけたらと思います。


 © 小笠原 拓 2015