はじめに
大学3年生になってゼミ配属も決まり、ゼミのメンバーとも段々と交流が増えてきた。そんな中、ゼミのメンバーを巻き込んで何か企画(と言っていいものか…)ができないか考える機会が訪れた。小笠原先生のゼミということもあり、何か本に関連したことができないかと考えた結果、安易かなと思いつつも一つのゲームを思いついた。あまり自信はなかったのだが、提案してみると思いのほか感触が良かった。そのため、実際にゼミ内でやってみたという次第だ。
これ、何の本?
突然だが、読者の皆さんにクイズを出したいと思う。下の図が何を表しているか、考えてみてほしい。
星の上にいるのはどんな人物だろうか。
この図は、世界的に有名なある本のタイトルを「いらすとや」の画像のみで表したものである。もうお分かりだろう。正解は、『星の王子様』(サン・テグジュペリ)である。
私が考えたのは、「いらすとや」の画像だけで表した本のタイトルを当てるというゲームである。
このゲームは、YouTubeで見た某ディズニーヴィランモチーフのゲームのPVをいらすとやで再現してみた、という動画から着想を得た。(分かる人には分かるだろう。友達がそのゲームが好きで、その関連動画としておすすめに出てきたのだ。見た当時、あまりの再現度に大笑いした記憶がある。)
実は、この「いらすとや」の画像達は、いらすとやのサイトの規約の範囲内であれば、個人、法人、商用、非商用問わず無料で利用することができ、また自由に編集・加工もできる。(著作権は放棄されていない。)
このようなタッチのイラストを見たことがある、という人も多いだろう。
そのため、学校で配布される資料やプレゼン資料など、様々な場面で頻繁に使われているのである。
読者の皆さんの 中にも、もしかしたら使ったことがあるという人もいるのではないか。とっつきやすく、資料作成初心者であっても簡単に画像を利用することができるため、大学生以上の人達ならゲームができるのではないかと考えた。
ルール
出題者側は、「いらすとや」の画像だけで本のタイトルを表すこと。トリミング等の加工・編集も規約の範囲内で可能とする。
しかし、「いらすとや」内で既に描かれている作品をそのままお題にするのはNGとする。(下図参照)
つまり、『因幡の白兎』と『ONE PIECE』をお題とすることはNG。
解答者側は、出題された図の意図を汲み取り、解答する。ただこれだけである。
実際にやってみた
6月某日、ゼミのメンバーに事前に1人1問ずつ作問してもらい、実際に「いらすとやでタイトル当てゲーム」をやってみた。小笠原先生も複数問作っていただいていた。(皆さんありがとうございます!)
実際に出た問題をいくつか抜粋していく。読者の皆さんも、ぜひ答えを考えながら見てほしい。
①屋根にコックの顔がある建物と、たくさんの吹き出しがある。
②女性がアルファベットの「N」を拝み、また「N」を思い浮かべて働いている。
③このロボットは羊のことを想っているのだろうか。ロボットを別の言い方で考えると…
④少し謎解きっぽい問題である。ヒントとてんとう虫の意味が分かると「おおっ!」となるだろう。
正解は、①『注文の多い料理店』(宮沢賢治)、②『Nのために』(湊かなえ)、③『アンドロイドは電気羊の夢を見るか』(フィリップ・K・ディック)、④『ぐりとぐら』(中川李枝子作・山脇百合子絵)である。
(ちなみに私は②を作問した。いかがだっただろうか。)
解答の楽しさとは裏腹に…
結論から言うと、ゲーム自体はとても面白かった。私は提案した側なので、いざ自分が解答者の立場になってみると、やはり自分では思い浮かばなかった様々な表し方を吸収できて楽しかった。
しかし、このゲームにはある大きな難点があった。問題に答えることよりも難しいことがあった。
それは「問題を作ること」である。なにせ、いくら自分の好きな作品だからといって問題を作っても、その作品が解答者の多くに知られていなければ誰一人として答えてもらえないのである。だから、多くの人が知っているであろう作品を捻出しなければ、ゲームのスムーズな進行は難しい。その捻出が思ったより難しかった。
私は提案の段階で何問か例題を作問したのだが、いざ本番用に作問しようとするとなかなか他の作品が思い浮かばなかった。 所謂ネタ切れ状態である。
そして本番では、やはりお題が被ることとなった。
使われている画像や構図に共通点が見られる2枚。
お察しの通り、この2つの図は同じ本のタイトルを表している。正解は、『謎解きはディナーのあとで』(東川篤哉)だ。
構図は類似しているが、矢印の違いや、「謎解き」というシチュエーションの表し方等、同じタイトルでも様々な違いが見られた。特に本の登場人物と画像の照らし合わせ方については、上の図は登場人物である「影山」という執事がいるのに対し、下の図は主人公であるお嬢様「宝生麗子」が謎を解いている、という表し方になっている。本の内容をどこまで図に反映するかが人によって違い、面白いと感じた。
ちなみに、これは私が例題として作問した図だ。この本が何か分かれば、図の登場人物の性別や立場が一致していることが分かるのではないか。
おわりに
本のタイトルについてただただ「いらすとや」で表すだけでなく、登場人物や内容の反映の仕方についてこだわろうと思えば、このゲームはどこまでもいけるのではないかと感じた。また、使う画像の枚数制限をしてみたり、本のタイトルではなく表紙を表してみたり、と追加ルールを設ければもっと様々なやり方でできそうだと感じる。(ゲーム名が変わってしまうが)それができると考えるのも、いらすとやの画像素材の豊富さがあってこそだろう。ますます今後様々な場面でいらすとやを使う意欲も湧いた。
最初は「単純すぎるかな〜」と思っていたこのゲーム、案外奥が深いのかもしれない。