ビーツでファンシーな料理を作る(小笠原拓)
公開日:2017年9月19日


食事とは思えない色合いですが…

ビーツを手に入れたので…

時々行く珍しい食材が売っている野菜直売所で、ビーツという野菜を手に入れた。急にビーツと言われても、ピンとこない人も多いと思うが、ロシア料理のボルシチなどでよく用いられるという、赤いカブである。

  
これがビーツ。断面は赤というより濃い紫と言った方が良いかもしれない。

この野菜、切った断面の色がちょっと毒々しい赤色なのだが、色々な料理に混ぜると、鮮やかなピンク色を作り出すことができる。以前、当サイトの記事で紹介したピンクカレーもこのビーツで色をつけている。

ということは、このビーツを使えば、カレー以外にも色々なピンク色のファンシーな料理を作ることができるのではないか?普段はファンシーとは縁遠い人間であるが、せっかくの機会なので作ってみることにした。


白い料理と混ぜればピンクになる

ネット情報によると(不確かな情報でスミマセン)例のピンクカレーは、ホワイトカレーと呼ばれる白いカレーを作り、それにビーツをミキサーにかけたものを混ぜ込んでいるらしい。


ミキサーにかけるとこんな感じ。味の素ならぬ「ファンシーの素」か?

要するに白い食材に混ぜることができれば、ピンクの料理ができるということになる。簡単に作れそうな白いものといえば、ご飯、豆腐、ポテサラ、ポタージュスープといった所だろうか?

とりあえず、この辺りの料理を作って、片っ端からピンクにしていきたいと思う。


前日にご飯と豆腐を仕込んだが…・・

という訳で、とりあえず取り組みやすいところから始めることに。ちょっと時間がかかるかもしれないと考え、ご飯と豆腐は前日に仕込んでおくことにした。

ご飯は、ビーツと一緒に炊き込むとピンクになるとのことだったので(かなり不確かな情報)、適当な量を刻んで、お米と一緒に炊飯器に入れた。

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紫+白=ピンクの法則を信じて後は炊飯器に任せたが…

一方、豆腐はビーツをミキサーにかけたものを豆乳に混ぜて、ゼラチンで固めることにした。にがりを使って固めてる訳ではないので「なんちゃって豆腐」である。

   こちらは既に鮮やかなピンクに。これはかなり期待できそう。

一日経ってみてみると、豆腐はうまく固まっていたのだが、ご飯はピンクといより薄い紫という感じで、あまり思った色にはならず。何より水加減を間違えてベチャベチャになっていた。このままでは、ちょっと…

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これはピンクとは言い難いな…

とはいえ、手本のない料理作りに、この手の失敗はつきもの。後で別の方法を考えることにする。


スープとポテサラはあっさり成功

ポテサラについては、割と簡単。ビーツとジャガイモの皮を剥いて、レンジに数分かけた後、しゃもじを使って潰していく。マヨネーズとハム(これもピンク)も入れて混ぜていくと、見事なピンクに。


これはかなりピンク。この時点で既に食べ物という感じがあまりしない。

スープはさらに簡単。ちょっと前にスーパーで見つけたカップスープの素に牛乳とビーツにミキサーにかけたものを混ぜる。これが一番「不穏な色」になるが、果たして味はどうなるだろうか??


ここまでくるとちょっと怖い。マッドサイエンティストの実験室を思わせる色…

多少の不安も感じるが、手順的にはかなり簡単に進んでいく。ピンク料理名人への道もそれほど遠くないのかもしれない。


ご飯はスープを使ってピンクリゾットに

後は、さっきのご飯である。とりあえず、そのままでは色以前に味がダメなので、食べられる料理にアレンジする必要がある。そこで(これもネット情報で大変恐縮だが)先程のスープを使って、リゾットにすることに。

ちなみに、このリゾット情報は、「ご飯 ベチャベチャ 復活」と検索窓に書き込んで見つけた。学生たちが、困った時にとりあえずグーグルに聞いてみたら、という感じになるのは、理解できなくもない。

などと感心しながら、スープと失敗ご飯を混ぜていく。いい感じのピンクの料理が出来上がってきたので、他の料理とともにできるだけファンシーに盛り付けると…


ファンシー?に盛り付け。飲み物は最近お気に入りの梅干し味のサワー。


味は意外にも…

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上から見るとこんな感じ。ポテサラと豆腐のピンクが濃い!

シソやネギをあしらったりして、若干、料理っぽさを演出してしまったが、全体として見れば、料理には見えないビジュアルである。ファンシーかどうかは置いておくとしても、非日常を感じる色合いであることは確かだ。

しかし食べて見ると、意外にも美味しい。ビーツはポテサラにしても豆腐にしても、ビーツがいい具合に隠し味のような感じで効いており、適当に作った料理にしては本格的な感じすらある。

味には全く期待していなかったので、これは完全に予想外であった。苦労が報われた喜びと嬉しい誤算を終始感じながら、ファンシー料理を美味しく頂くことができた。

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味にも満足して綺麗に完食。但し、食べ終わった後の色はやっぱり…


まとめ

☆料理をピンクにするのは思ったよりずっと簡単だった。失敗するリスクも低い気がするので(ご飯は失敗したけど)、皆さんも、どんどんピンクレシピを作ってみてほしい。

☆どの料理も予想以上に美味しかったが最大の驚きだった。ビーツは他の料理の味を邪魔しないし、むしろ隠し味になって深みを出す。奇抜な見た目(色)とは裏腹に、意外と中身は控え目な「いい人」だった。

☆但し、料理をピンクにしたから、全てファンシーになるかどうかは微妙。というか、ピンクにすれば何でもファンシーになるという発想自体が微妙。(「俺ってバカだな〜」と感じる瞬間でもある。)

☆でも、こういう「俺ってバカだな〜」って感じの記事を書いてる時が、なんだかんだで、一番楽しかったりもするので、人間の感情というのは不思議なものである。


余ったスープを使ってもう一品作った。やっぱり美味い。


 © 小笠原 拓 2015